2010年12月6日月曜日

交通事故の裁判例紹介

交通事故の裁判例です。交通事故の示談や慰謝料については弁護士に相談することをお勧めします。また、社員が交通事故を起こしてお困りの企業は、顧問弁護士に相談することをお勧めします。本件交通事故現場は、歩車道に区分された片側一車線道路(歩道部分を除いた片側車線は五メートル、うち路側帯部分が一・四メートルのため、車道部分は三・六メートル、甲一二)でアスファルト舗装されており、その付近においては道路は直進している。本件交通事故現場は、駐車禁止の規制がある。本件交通事故は、前記のとおり午後一一時二四分ころという深夜に発生している。また、当時の天候は曇であった。交通事故現場は、吉路の進行してきた市川市大須一丁目方向から来ると、現場の手前五〇〇メートル付近までは街灯がかなり多いのに、右の付近からは街灯が少なくなっており、交通事故現場についてみると、約一〇〇メートル離れて設置されている街灯のちょうど中間付近に当たっていて、その周囲には街灯の灯火がなく、また、交通事故現場の左側は公園で、周囲には建物も比較的少なく、市街地とはいえ、ことに深夜には非常に暗く、かつ、吉路の進行してきた方向から進行してきた車両の運転者にとっては、従前の状況との対比により障害物を発見しにくくなる状況にあった(具体的には、衝突地点についてみると、照度計を左手の大和田公園方向に向けて測定すると三・七五ルクスである(公園の奥にある遠灯の光を受けるためである)が、吉路が進行してきた市川市大須一丁目方向に向けて測定すると〇・五三ルクスしかなく(甲三七)、このことに、人間の目は三ルクス以下になると暗く、見にくく感じる(甲三〇)という事実とを併せ考えると、吉路が進行して来た方向から見た交通事故現場が非常に暗かったことが具体的に認定できる)。また、交通事故現場は車両の通行量があまり多くない場所であり、本件交通事故時にも、吉路の側から見た対向車はなく(甲一四、四五)、そのため、障害物の発見は一層困難な状況にあった。被告は、被告車を、道路左端から約二・四メートルの地点まではみ出して(すなわち、幅一・四メートルというかなり広い路側帯からさらに車道に約一メートルも車体がはみ出す形)で駐車した。被告車は、荷台に灰色のカバーがかけられており、シャシーは黒色で、一、二か月洗車していないため反射板や尾灯を含めた車両後部が汚れて見にくく、反射板は汚れで十分に反射力がない状態となっており、また、運輸省令で車両総重量七トン以上の貨物自動車に設置が義務付けられている大型後部反射器(甲六〇、六一)も設置されていなかった。また、被告は、尾灯、非常点滅灯を点滅させず、警告反射板も置かない状態で右駐車車両を放置した。本件交通事故現場と同じ道路の反対側付近では、本件交通事故の八年くらい前にも同種の死亡交通事故が発生していた(甲四四)。また、被告自身、以前に同じ道路の反対側付近にやはりダンプカーを駐車した結果、これは大事には至らなかったものの同様の衝突交通事故を発生させたことがあった(甲四六)。被告は、交通事故現場のすぐ近くに住んでいてそこに車庫を有しており、また、現場の状況は交通規制についてもよく知っていた。それにもかかわらず、自宅の車庫が狭くて入車をしにくく、また、当日午前零時すぎからアルバイトに行かなければならないと思い込んでいたため、安易に右の場所に被告車を駐車放置して家に帰り、午前零時すぎにこれを取りに行って本件交通事故の発生を知った。右の認定によれば、被告は、すぐ近くに自宅の車庫があってそこに駐車することが可能であり、本件交通事故現場に駐車を行わなければならない合理的な理由は何らないにもかかわらず、また、右現場が、後方から進行してくる車両の運転者にとっては、一般的にいってもその直前の道路の状況と比較しても非常に暗く、対向車も少なくて、障害物の発見がしにくい場所であることなどそこに駐車することの危険性を熟知し、かつ、自分自身が以前に同じ道路の反対側付近で同様の衝突交通事故を発生させた経験があるにもかかわらず、片側一車線で駐車禁止規制がある本件交通事故現場に、深夜、法定の大型後部反射器を設置せず、汚れて反射板の反射力も落ち、かつ、全体としても後部が見にくい状態の被告車を、幅一・四メートルというかなりの広さのある路側帯からさらに一メートルも車道にはみ出させる状態でそのまま駐車放置し、本件交通事故を発生させたものであるから、その責任は明らかである(なお、被告は、本件交通事故について、平成一一年二月二三日に、千葉簡易裁判所で、業務上過失致死罪により、罰金五〇万円の略式命令を受けている)。ブログ