このブログでは、企業の顧問弁護士をしている者の立場から、日々接している法律問題のうち、一般的な情報として役に立ちそうなものをメモしています。ジャンルは幅広く扱っていますが、近時、未払いの残業代の問題などの労務問題が増えているので、そのような傾向を反映した形でのテーマのバラつきはあるかもしれません。
今回は、従業員などの持株会についてです。
1.持株会について
ありていにいいますと、持株会というのは、ある会社の株式を取得・保有する、従業員や役員、取引先等の組織です。つまり、従業員持ち株会、役員持株会、取引先持株会等があるとされています。
持株会のメリットとしては、従業員の資産形成に役立ち、士気高場、経営への参画意識を高められること、経営者の相続税対策、あるいは事業承継の際に有効であること、上場の際、従業員の株価の上昇が見込め、安定株主になること、などが一般的に挙げられます。
他方、持株会のデメリットとしては、持株会の設立と運営に手間・費用がかかること、会社の業績が悪くなった場合に配当や株価に関する従業員等の不満が出やすいこと、条件によっては、株式の売買や換金の際に申し出をすることが困難であること、などが挙げられます。
2. 持株会の法的性格
持ち株会の法的性格については、一般的には次のような種類があるといわれています。
(1) 民法上の組合
従業員持株会の多くが「民法上の組合」といわれています。税法上も法人税としての課税はなく、従業員個人の配当所得として課税されます。
(2) 法人格なき社団
税法上はみなし法人として法人税が課されます。
(3) 任意団体
信託銀行が社員持株信託として設立される場合の任意団体としての持株会が考えられます。
以上につき、ご不明な点は貴社の顧問弁護士にお尋ねください。最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。