今日は、サービス残業の残業代請求についての裁判例を紹介しています(つづき)。
(6)争点6(不法行為に成否について)
(原告)
ア 被告は、労基法に反し、労働基準監督署への届出をすることなく、違法に、原告に裁量労働制が適用されるとして法定外時間労働を強いてきた。
イ 原告は、被告の上記違法な行為により精神的苦痛を被った。同苦痛を金銭的に評価すると60万円が相当である。
(被告)
否認ないし争う。
第3 当裁判所の判断
1 事実認定
前提事実及び証拠(〈証拠略〉)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)ア 原告が被告に契約社員として勤務していた期間における被告の契約社員・嘱託規定には以下の規定がある。
契約社員は次のいずれかの勤務日数、就業時間及び休憩時間で勤務するものとする。
(ア)週5日 8時間勤務 フレックスタイム制 休憩時間1時間
(イ)週5日 裁量労働制(裁量労働該当者に限る)
イ また、原告が正社員として勤務していた期間における被告の従業員就業規則には以下の規定がある(〈証拠略〉)。
(ア)就業時間 1日8時間 1週40時間 休憩時間1時間
始業時刻 午前9時30分
終業時刻 18時30分
(イ)裁量労働制 適用対象業務に携わるもので裁量労働制を選択した社員については、上記就業時間に係る規定にかかわらず、職務遂行の手段及び時間配分の決定等は当該社員の自主裁量に委ね、勤務時間管理を行わず所定の労働時間就業したものと見なす。
(ウ)休日 土・日曜日、国民の祝日(日曜日と重複したときはその翌日)、国民の休日(5月4日)、年始(1月1日~1月3日)、その他被告が必要と認めた日
(エ)休日の振替 社員は休日を上長の許可を得て変更することができる。又、休日が取得できなかった場合、3ケ月繰り越すことができる。
(オ)割増賃金(残業代) 時間外労働(残業)、休日労働又は深夜労働(残業)に対しては、給与規定の定めるところにより割増賃金(残業代)を支払う(但し、裁量労働制を採る社員を除く。)。
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