今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。
第2 事案の概要など
1 事案の概要
本件は、原告が時間外労働(残業)を、また、休日労働をしたとして、それに対応する時間外、休日の割増賃金(残業代)などとして108万6821円及びこれに対する平成16年7月22日(被告を退職した日の翌日)から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律所定の年14.6%の割合による遅延損害金とともに同未払賃金(未払い残業代)額に相当する付加金108万6821円並びに不法行為による損害賠償請求権に基づき60万円及びこれに対する平成16年7月22日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。
2 前提事実(但し、文章の末尾に証拠などを掲げた部分は証拠などによって認定した事実、その余は当事者間に争いがない。)
(1)ア 被告は、コンピュター及びその周辺機器、ソフトウエア製品の企画、開発、製造、販売、輸出入及び賃貸などを業務内容とする株式会社である。
イ(ア)原告は、平成15年9月1日、被告との間で以下のとおりの雇用契約を締結した(なお、以下の〔5〕〔6〕は甲11)。
〔1〕態様 契約社員(同日から平成15年11月30日まで)
〔2〕勤務場所 大阪開発部
〔3〕職務内容 コンピューターソフトのプログラミング
〔4〕賃金 27万5000円(毎月末日締めの当月25日払い)
〔5〕勤務時間など 裁量労働制、8時間勤務、休憩時間1時間
〔6〕休日 土・日曜日、国民の祝日、国民の休日(5月4日)、被告の必要と認める日
(イ)原告は、同年12月1日、被告との間で雇用契約(正社員として)を締結した(なお、以下の〔4〕ないし〔6〕は甲12)。
〔1〕勤務場所 大阪開発部
〔2〕職務内容 コンピューターソフトのプログラミング
〔3〕勤務時間など 裁量労働制、8時間勤務
〔4〕休日 年間104日以上とし、1週間の労働時間40時間以内を守りながら原告の裁量で決定する。また、原告は月間出勤管理簿に毎週2回以上の休日予定日を記載し、被告へ提出しなければならない。
〔5〕賃金 基本給、住宅手当、通勤手当(但し、基本給は月給制)(毎月末日締めの当月25日払い)
〔6〕賞与 毎年6月と12月に、原告の過去6カ月間(前年9月~当年3月、あるいは当年4月~当年9月)の勤務成績に応じて、賞与を与えることがある。
(2)原告の平成16年1月1日から同年6月30日までの各日の出退社時間は別紙「労働時間表」〈略〉記載の出社、退社欄記載のとおりである。
(3)ア 原告について、以下のとおりの休日の振替がなされた。
対象日 振替日
(ア)平成16年4月17日(土) 同月21日
(イ)同年4月18日(日) 同月22日
(ウ)同年4月24日(土) 同月28日
(エ)同年4月25日(日) 同月29日
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